2020年8月以降どうなるか!

4月以降緊急事態宣言による経済停止、宣言解除、経済再開そして再度の感染拡大と企業を取り巻く環境は激変、これまでにない環境変化にさらされております。

 これまでもセミナーなどでは

・環境対応できない企業は退出せざるを得ない

・既存のビジネスモデルの多くが崩壊する

・デジタル化が一気に進展する

・経営に必要な視点は原理原則

などについて述べさせていただきました。緊急事態宣言前だったこともあって、まだまだそこまで深刻に考えている経営者も少なかったように見受けられます。しかし、今やそうした懸念が現実のものとなり、我々を取り巻く環境は想像以上のスピードで変化し続けています。

そんな中、これまでデジタル化を進めてきた会社は、すでにポストコロナに向けてエリアの拡大や人財採用強化に動き出し対前期比の売上を大きく伸ばすの結果を得ています。また、多くの業界でこれまでのビジネスモデルが崩壊し再構築が急務になっています。弊社のDM(デジタルマーケティング)部門には事業のDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた新規事業相談がこれまでになく寄せられております。

そして、事業承継をテーマに見ていくと、後継経営者不在の会社からも「引き継ぎ手を探して欲しい」「取引先と連携したい」「余力があるうちに辞めたい」などの声が数多く寄せられています。

〇経営の最重要事項は「社員とその家族の健康と命を守る」にシフト

 経営の価値観も大きく変わってきています。これまで半世紀、企業経営は「規模をどう拡大し、売上をどのように伸ばすか」、そして「利益を最大化するにはどうすればよいか」など効果効率を追求する経営が主流でした。しかし、新型コロナウイルスはその価値観を一瞬で吹き飛ばしました。

日本電産の永守社長が「人命が第1やぞ。君自身がまず命を守れ。家族を守れ。会社はその次でいい」と発言し驚きを誘いました。

また、日本における基幹産業、トヨタの豊田社長は6月の株主総会で「世の中を元気にし『幸せを量産』する会社としたかった」と述べ、株主に対し「この見通しは、地道な努力を続けてきた世界37万人の従業員ら全員で作り上げたもの」と現場を慮り、涙を見せました。大手企業トップがメディアを通じてこのような発言をすること自体、時代が変わりつつある兆候と言えるでしょう。これまで経営において最も重視された売上や利益はポストコロナにおいて優先順位は下がらざる負えません。

〇ポストコロナで出現する有効供給不足

テレワークの浸透や、オンラインでの取引の増加により社会のニーズも大きく変わりつつあります。各市場においては、企業の活動が変わり、消費者の生活様式が変わることで一気に有効供給がなされていない市場が出現しています。在宅で付加価値の高い食事を楽しむニーズ、新型コロナウイルス対策を施した商品、サービス。現在、この新しい市場に適応するために、多くの企業でこれまでの商品・サービスの提供方法やビジネスモデル自体を見直す必要が生じています。

しかし、企業は変化の激しさについていけず、この需要に対応できていません。とくに大手と呼ばれる企業ほど、この変化に迅速に対応することは難しいでしょう。なぜなら、出現している市場自体がまだまだ潜在的、かつこれまでと比べて細分化された小規模な市場であるからです。そのため、地域の中小企業がこの市場にどう対応するかが大きなカギになってきます。すでに市場変化に対応した企業には顧客が殺到し、手ごたえをつかむ企業が増えだしています。

〇ビジネスモデルの再構築

 どの業界においても、既存の事業の多くが立ち行かなくなり、新生活様式やガイドラインに沿った新サービスや新規事業に対応しなければなりません。その際には、これまでのビジネスモデルを自己否定し、創造的破壊を行っていかなければなりません。非接触型のサービス提供、提供場所の変更、販路のシフトチェンジなどすぐに取り組めることから初めて行くことが求められています。

 ポストコロナにおいてはこの状況が平時となっていきます。会社を維持するためには戻り切らない売上を新規事業などで新たに創造しなければなりません。BtoBを販路の中心としていた会社であればBtoC、BtoBtoCと直接エンドユーザーに接点を求めていくサービスを展開することが必要になります。例えば製造業においては、切削に強みがあるのであれば切削技術で課題解決を図れるような異分野、超短納期、多品種、1点ものからといったビジネスモデルを構築するなどが挙げられます。このまま大手企業からの売上回復を待っていることは座して死を待つことに等しいでしょう。

最後にこれらを証明する事例についてご紹介します。宇都宮市にA社という老舗の洋食、ステーキレストランがあります。そのお店も新型コロナの影響により宴会や会合の予約が激減、売上は半分以下の月もあるなど危機に瀕しました。しかし、すぐさま社員一丸となって弁当、テイクアウトを強化、ネット決済機能も追加して宅配サービスも始めました。

また、SNSを使っての情報発信も強力に推進した結果、新型コロナにおいて最も厳しい業態と呼ばれる飲食店であっても7月の売上は対前期プラスと言う結果になりました。外部環境に責任転嫁している限り、この結果は出なかったでしょう。 もはや「コロナが落ち着いたら」「状況が戻ったら」と自ら変化を先送りすることは経営者には許されない段階になっています。勇気をもって前に進むことが何よりも重要です