台湾優良企業視察・鼎泰豊(ディンタイフォン)

1.「人を大切にする経営」は経営における世界共通の原理原則である

最初に訪れた世界14か国、140店舗展開し、世界のベストレストラン10傑にも選ばれている世界的な飲食チェーン鼎泰豊(ディンタイフォン)。

ディンタイフォン 本社

 

経営理念は、「勉強し続ける」、「品質を高める」、「人の育成」の3つを柱としている。人件費比率は55%と業界の常識を逸した数字である。現場のスタッフがコンサルタント的な立場で世界各国の店舗に派遣される。

商品説明をしてくれた日本語堪能なスタッフ

楊社長が「人を軸にして経営を行っていかないと、いいサービス、いい商品は提供できない。品質は命であり、ブランドは責任、これを果たすために必要なこと」と言っていたことが特に印象的である。どこの国であってもいい会社は人を軸にした会社づくりを行っている。

お話しいただいた楊社長

2.業種や業態は人を大切にする経営を行う上で制約要素にはならない。

今回は台湾を代表するサービス業から世界的な製造業までの視察を行った。どの会社でも人を軸にした経営を行っており、各施策等には人を大切にするエッセンスがそれぞれに盛り込まれていた。製造業においてはサービス業的な考え方を取り入れており、新商品開発などは常に社員の意見を聞きながら年間計画を立てて新たに生み出している。

高雄市のサイバーテック社

特に日本においては生産性が低いサービス業においてこそ今後、大きな伸びが見込める。特に観光産業、1次産業を絡めた体験サービスなどは世界共通で需要が伸びている分野である。したがって、日本においてこの分野で生産性を高めるためにはこれまでの長期的な視点を持ち業界の常識を覆すような取組を行っていく必要がある。業種、業界の慣例は環境適応するにあたっての足かせにすらなりつつある。

スタッフの皆さんの説明がすばらしかった

社員の方が我々に自宅で取れた果物を差し入れておもてなしをいただいた

3.人を大切にする経営を実践する会社にはオリジナルかつ付加価値の高い商品・サービスがある。

社員に手厚い待遇を行うには当然、収益の高さがポイントになる。働き方改革においても、生産性の向上は必須である。しかし、生産性の向上はオーナーや株主の利益の極大化を目指すための取組ではなく、社員とその家族を含めた組織構成員の幸せを向上させるための取組でなければならない。大切にされた社員は、自分たちの将来のため明日の仕事を創造するようになる。インターネットが普及した時代、現場に近い社員の意見を商品・サービス開発に反映させる仕組みが大切である。社員を積極的に新商品・サービス開発に参画させて5年後、10年後の飯のタネを創ることがいい会社になる近道である。

3社目に訪問したLUCIDITYのエントランスは圧巻。勤続10年以上の社員の名前が飾られている。同時に高齢で退社した方の名前の横には退社日が。離職はほとんどない。